コレステロールが多い食べ物とは?悪玉コレステロールの下げ方と共に紹介!
健康診断でご自身や家族がコレステロール値を指摘された経験がある、という方は少なくないでしょう。また善玉(HDL)コレステロールや悪玉(LDL)コレステロールという言葉は、聞いたことがある方も多いはずです。
この記事では、「悪玉(LDL)コレステロールの多い食品ってどのようなものがあるの?」「悪玉(LDL)コレステロール値を下げるためにはどうしたらいいの?」といった疑問に対する答えをまとめていきます。ぜひ最後まで読んで、ご自身や家族の健康を考える際の参考にしてください。
当社の管理栄養士。商品企画・マーケティング領域を担当。
<もくじ> |
コレステロールとは
コレステロールとは人間の体内にある脂質で、細胞膜やホルモンの生成に欠かせないものです。コレステロールが不足してしまうと、髪の毛や肌がパサつく原因となり、細菌にも感染しやすくなってしまいます。
コレステロールは脂質の一種です。人の体に存在するコレステロールのうち、約7~8割は体内の糖や脂肪を元に、肝臓をはじめとした臓器で作り出されています。残り2〜3割程度は、食事から取り入れられています。なお、体内で作り出されるコレステロールの量は、食事由来のコレステロールの量に合わせて増減する仕組みです。(※1)
コレステロールのバランスが崩れると、健康への影響が考えられます。そのため、コレステロールが多い食べ物をしっかりと把握しておきましょう。
(※1)参考:厚生労働省 e-ヘルスネット 「コレステロール」(入手日付2023-10-12)
悪玉(LDL)コレステロールと善玉(HDL)コレステロールの違い
コレステロールは水に溶けず、血液の中を流れるときはタンパク質と結合してリポタンパク質になります。リポタンパク質は種類によって次の2つに分けられます。
- 悪玉コレステロール(LDLコレステロール):肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ
- 善玉コレステロール(HDLコレステロール):多くなったコレステロールを回収、血管の壁にたまったコレステロールを取り除いて肝臓に戻す
通常であれば悪玉(LDL)コレステロールと善玉コレステロールは、一定の量に保たれているのが特徴です。しかし悪玉(LDL)コレステロールが増えすぎたり、逆に善玉(HDL)コレステロールが少なすぎたりして基準値から外れると、脂質異常症の状態となります。
悪玉(LDL)コレステロールが増加するとコレステロールが血管の壁に蓄積し、血管が詰まりやすくなり、動脈硬化が進みます。そのまま放置すると、動脈硬化から心筋梗塞や脳梗塞など、命に関わる症状にも発展しかねません。
※参考:e-ヘルスネット 「脂質異常症」 (入手日付2023-10-29)
コレステロールと脂質異常症について
コレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)などの脂質の数値に異常がある状態が脂質異常症です。脂質異常になってしまうと、動脈硬化が促進されると考えられています。脂質異常の診断基準値は次のとおりです。
LDLコレステロール | 140mg/dL 以上 | 高悪玉コレステロール血症 |
120~139mg/dL | 境界域高悪玉コレステロール血症** | |
HDLコレステロール | 40mg/dL 未満 | 低善玉コレステロール血症 |
トリグリセライド | 150mg/dL 以上(空腹時採血*) | 高トリグリセライド血症 |
175mg/dL 以上(随時採血*) | ||
Non-HDLコレステロール | 170mg/dL 以上 | 高Non-HDLコレステロール血症 |
150~169mg/dL | 境界域高Non-HDLコレステロール血症** |
*基本的に10時間以上の絶食を「空腹時」とする。ただし水やお茶などカロリーのない水分の摂取は可とする。空腹時であることが確認できない場合を「随時」とする。
**スクリーニングで境界域高LDL-C血症、境界域高non-HDL-C血症を示した場合は、高リスク病態がないか検討し、治療の必要性を考慮する。
※引用:厚生労働省 e-ヘルスネット「脂質異常症」(入手日付2023-10-30)
中性脂肪、Non-HDLコレステロールとは次のようなものです。
- 中性脂肪:身体の中にエネルギーを蓄えるという役割を担っている脂質
- Non-HDLコレステロール:総コレステロールからHDLコレステロールを抜いた数値
先述のとおり脂質のうち悪玉(LDL)コレステロールが高いと、動脈硬化が起こりやすくなり、最終的に心筋梗塞や脳梗塞につながりかねません。悪玉コレステロールが増加すると次のような流れで動脈硬化を促進させます。(※2)
- 組織や細胞に取り込まれなかった悪玉(LDL)コレステロールが血液中を流れる
- 増加した悪玉(LDL)コレステロールが血管の内皮下に入り込んでたまる
- 白血球の一種が悪玉(LDL)コレステロールを取り込むが、やがて機能を失ってその場で死ぬ
- 死んだ白血球の塊が増加することで血管の内膜が押し上げられて血管が狭くなる
(※2)参考:厚生労働省e-ヘルスネット「LDLコレステロール(LDLこれすてろーる)」(入手日付2023-11-9)
悪玉(LDL)コレステロールの増加によって動脈硬化が進んでしまうと、次のような病気になるかもしれません。
- 狭心症
- 心筋梗塞
- 脳梗塞
- 大動脈瘤
- 腎梗塞
動脈硬化は無症状で進行していきます。ご自身や大切な家族が健康診断で悪玉(LDL)コレステロール値が高いと言われたら放置せず、すぐに食事や生活習慣を見直しましょう。悪玉(LDL)コレステロールの具体的な下げ方については、後半で詳しく解説します。
※参考:日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」P24(入手日付2023-10-29)
コレステロールが多い食べ物
ここで、悪玉(LDL)コレステロール値が高い人が避けるべき食品について解説します。文部科学省『日本食品標準成分表(八訂)増補2023年』によれば、コレステロールが多い食べ物は次のとおりです。(※3)
食品名 | コレステロール(mg)/100g中 |
鶏卵(卵黄)(生) | 1,200 |
にしん、かずのこ(乾) | 1,000 |
するめ(加工品) | 980 |
ぼら からすみ | 860 |
かたくちいわし(田作り) | 720 |
コレステロールは鶏卵や魚卵などに多く含まれる傾向にあります。
また、脂身の多い肉や乳製品などに含まれる油脂は悪玉(LDL)コレステロールを増やしてしまいます。
具体的な食品の例は、次のとおりです。
- 脂身の多い肉や加工肉:ハム、ベーコン
- 乳脂肪の多い食べ物:チーズやアイスクリーム
- インスタント食品:カップ麺
- 菓子類:スナック菓子やケーキ
自分や家族の食事に気を付けるなら、コレステロールを多く含む食品だけでなく、悪玉(LDL)コレステロールを増やしてしまう食品の取りすぎにも注意しましょう。
(※3)参考:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)第2章(データ)」(入手日付2023-10-19)
悪玉(LDL)コレステロールの下げ方
コレステロールのうち、動脈硬化の大きな原因になってしまうのが悪玉(LDL)コレステロールです。動脈硬化から発展する病気を避けるためにも、悪玉(LDL)コレステロール値を下げる具体的な方法を押さえておきましょう。
悪玉(LDL)コレステロールは次のような方法で数値を下げることが可能です。
- 摂取エネルギーを抑える
- 飽和脂肪酸の摂取を抑える
- 食物繊維が多いものを食べる
- 不飽和脂肪酸(大豆・青魚など)の摂取量を増やす
- コレステロールが多いものを抑える
- 調理時に使用する油に注意する
- 運動習慣を身に付ける
それぞれついて詳しく見ていきましょう。
下げ方①摂取エネルギーを抑える
悪玉(LDL)コレステロール値を下げる方法として最初に挙げられるのが、摂取エネルギーを抑えることです。太っている方だけではなく、痩せ型の方であっても悪玉(LDL)コレステロールが多いケースはあります。しかし中でも、肥満の方が悪玉(LDL)コレステロールの数値を改善したい場合は、エネルギー制限が効果的とされています。まずは摂取するエネルギーを抑えて、適切な体重を目指すとよいでしょう。
次の計算で、まずは適切な体重を把握することが大切です。適正体重をオーバーしている方は、エネルギーを取り過ぎている可能性があります。
- 身長(m)×身長(m)×22=適正体重
次に体重と年齢、身体活動レベルに応じた、一日あたりのエネルギーの必要量を確認します。(※4)
体重あたりの推定エネルギー必要量(kcal/kg 体重/日)は以下のとおりです。
性別 | 男性 | ||
身体活動レベル | Ⅰ(低い) | Ⅱ(ふつう) | Ⅲ(高い) |
18~29歳 | 35.5 | 41.5 | 47.4 |
30~49歳 | 33.7 | 39.3 | 44.9 |
50~64歳 | 32.7 | 38.2 | 43.6 |
65~74歳 | 31.3 | 36.7 | 42.1 |
75歳以上 | 30.1 | 35.5 | – |
性別 | 女性 | ||
身体活動レベル | Ⅰ(低い) | Ⅱ(ふつう) | Ⅲ(高い) |
18~29歳 | 33.2 | 38.7 | 44.2 |
30~49歳 | 32.9 | 38.4 | 43.9 |
50~64歳 | 31.1 | 35.2 | 40.4 |
65~74歳 | 30.0 | 35.2 | 40.4 |
75歳以上 | 29.0 | 34.2 | – |
(※4)引用:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版) 「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書」p.86 (入手日付2023-10-30)
身体活動レベルの目安は次のとおりです。
- Ⅰ(低い):生活の大部分を座っている
- Ⅱ(ふつう):座り仕事がメインだが、移動や立っての作業、買い物、家事などで身体を動かす
- Ⅲ(高い):立ち仕事が多いもしくはスポーツを習慣的に行っている
体重70kgの30歳男性で、身体活動レベルが「ふつう」であれば、39.3×70=2,751kcalが一日あたりのエネルギーの必要量となります。適正体重を目指す場合は、一日あたりの摂取エネルギーが必要量を超さないよう意識し、少しずつ体重を減らしていくとよいでしょう。
※参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」P91(入手日付2023-10-12)
下げ方②飽和脂肪酸の摂取を抑える
お肉や乳製品、バターなどに含まれる脂肪は、飽和脂肪酸を多く含んでいます。飽和脂肪酸を摂取し過ぎると、悪玉(LDL)コレステロールが増加し、動脈硬化や心筋梗塞などの血管疾患のリスクが上昇します。
日本人の飽和脂肪酸の摂取基準(目標量)は、18歳以上の男性・女性ともに脂質の総エネルギー量の7%以下です。(※5)普段から飽和脂肪酸を摂り過ぎないよう、メニューを工夫し、量を調整しましょう。
(※5)参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」P131(入手日付2023-10-30)
下げ方③食物繊維が多いものを食べる
コレステロールを下げるには植物繊維を豊富に含んだものを食べるのがおすすめです。食物繊維は、血液中のコレステロール濃度を下げるとされています。(※6)そのため、次のような食べ物を積極的に食卓に取り入れましょう。
野菜 | さつまいも、かぼちゃ、ブロッコリー、たけのこ、ごぼう、モロヘイヤ、インゲン豆 |
穀物 | 玄米、大麦、胚芽米、そば、ライ麦 |
その他 | 椎茸、ひじき |
食物繊維を多く含んだ食べ物と言えば野菜を想像してしまいますが、玄米や大麦といった穀物も多く含んでいます。そのため、主食を白米から玄米ご飯や麦ご飯などに切り替えるのもおすすめです。
厚生労働省では野菜類を1日350g以上食べることを推奨しています。350gの野菜を一度の食事で食べるのは難しいため、1回の食事につき、サラダや野菜をメインとした小鉢を1皿以上食べるようにしましょう。(※7)
(※6)参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「食物繊維の必要性と健康」(入手日付2023-10-30)
(※7)参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「野菜、食べていますか?」(入手日付2023-10-19)
下げ方④不飽和脂肪酸(大豆・青魚など)の摂取量を増やす
大豆や青魚などに含まれている不飽和脂肪酸は、悪玉(LDL)コレステロールを減らす働きが期待されます。不飽和脂肪酸は悪玉(LDL)コレステロールを減らすだけでなく、血圧を下げる機能もあるとされています。
主菜がお肉になりがちという場合は、大豆やさば、さんまなどの青魚に変えてみましょう。
下げ方⑤コレステロールが多いものを抑える
前述の通り、食事由来のコレステロールがそのまま血液中のコレステロール値として表されるわけではありません。また、悪玉(LDL)コレステロールの上がり方は個人差が大きいため、コレステロールの摂取量は上限の設定が難しいとされています。(※8)
しかし、血液中の悪玉(LDL)コレステロールの値が高い方の場合、飽和脂肪酸やコレステロールの摂取量を抑えると数値の改善につながりやすいようです。脂質異常症と指摘を受けた場合などは、飽和脂肪酸を含む食べ物を減らす他、鶏卵や魚卵などのコレステロールが多い食べものも意識して控えるとよいでしょう。(※9)
(※8,9)参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「脂質異常症」(入手日付2023-10-30)
下げ方⑥調理時に使用する油に注意する
食事でコレステロールを意識するなら、食べ物だけでなく調理時に使用する油にも注意が必要です。例えばバターやラードは飽和脂肪酸が多いため、代わりに不飽和脂肪酸が多いサラダ油やオリーブオイルをなるべく使用しましょう。オリーブ油やキャノーラ油、菜種油など、悪玉(LDL)コレステロール値を下げると言われている油を使うのもおすすめです。
なお油はエネルギーが高いため、使いすぎには注意が必要です。蒸す、煮るといった油を使わないメニューにする、油は風味づけ程度に使うなどして、油の使用量を意識して減らしましょう。
下げ方⑦運動習慣を身に付ける
悪玉(LDL)コレステロール値を下げるには運動習慣を身に付けることも欠かせません。厚生労働省では、脂質異常症改善のために強度3メッツ以上の運動を毎日 することを推奨しています。3メッツ以上の運動とは、通常のスピードのウォーキングが当てはまります。家事や仕事が忙しくて運動する時間が取れないという方は、30分を複数回に分けて、息が軽くあがるくらいの運動をしてみましょう。家族で脂質異常改善に取り組む場合は、一緒に運動するのもおすすめです。(※10)
(※10)出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「脂質異常症を改善するための運動」(入手日付2023-10-30)
悪玉(LDL)コレステロールを減らすためには食事と運動に気を付けよう!
コレステロールは悪玉(LDL)コレステロールと善玉(HDL)コレステロールに大きく分けられます。悪玉(LDL)コレステロールが増加してしまうと、動脈硬化の進行によって狭心症や心筋梗塞、脳梗塞、大動脈瘤などの大きな病気になりかねません。
悪玉(LDL)コレステロールを下げるためには摂取エネルギーを抑えたり、食物繊維を摂取したりすることをおすすめします。また食事に気を配るだけでなく、運動も大切です。自分はもちろん、家族の健康を守るために食事と運動に気を付けて悪玉(LDL)コレステロールを減らしていきましょう。
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