栄養バランスの良い食事とは?摂りたい栄養素も紹介!
「栄養バランスの良い食事が大切だ」「食事と栄養は切っても切り離せない」ということを理解している人は多いでしょう。同時に、「思っていても実際の食生活に反映するのは難しい」と感じる人もいるかもしれません。
そこで本記事では、栄養バランスの良い食事の基本や、栄養素別の理想的な摂取目安について解説します。後半では、積極的に摂りたい栄養素についても触れているので、ぜひ参考にしてみてください。
<もくじ> |
栄養バランスが良い食事とは
栄養バランスの良い食事について考える一つの基準として、厚生労働省が示す『日本人の食事摂取基準』があります。(※1)
『日本人の食事摂取基準』は日本人の健康維持や増進、エネルギー・栄養素摂取の過不足の回避や生活習慣病の予防を目的として定められたものです。この基準を満たしながら、バランス良く栄養を摂取することが重要です。
ただし、普段の生活で全ての栄養素摂取量を意識しながら食事を取るのはなかなか大変かもしれません。
栄養バランスに優れた理想的な食事としては、日本に昔から根付いている一汁三菜の和食が挙げられます。
一汁三菜とは、主食・主菜1品・副菜2品・汁物で構成される食事のことです。一汁三菜の構成を意識した食事を心掛ければ、偏りなく必要な栄養を取りやすくなるでしょう。
(※1)参考:厚生労働省 「日本人の食事摂取基準」(2020年版)(入手日付2023-10-18)
栄養バランスの肝は主食・副菜・主菜とその他の食品配分!
一汁三菜で栄養バランスを取るためには、以下のバランスを考える必要があります。
- 主食
- 副菜
- 主菜
- その他の食品
厚生労働省と農林水産省が作成した食事バランスガイド によると、1日の食事例は以下のように示されています。
食品の例 | 1日必要カロリーが2,000〜2,400kcalのSVの目安 | 1日必要カロリーが2,000〜2,400kcalの場合の食事例 | |
主食 | ごはん・パン・麺 | 5〜7SV | ごはん(中盛り)の場合4杯程度 |
副菜 | 野菜・きのこ・いも・海藻 | 5〜6SV | 野菜料理5皿程度 |
主菜 | 肉・魚・卵・大豆製品 | 3〜5SV | 肉・魚・卵・大豆料理のいずれか3皿程度 |
その他の食品 | 牛乳・乳製品 | 2SV | 牛乳の場合コップ1杯程度 |
果物 | 2SV | みかんの場合2個程度 |
SVはサービング数の略称で、食事の提供量の単位です。
例えば、上表の主食欄を見ると、必要カロリーの目安は5~7SVです。食事バランスガイドでは、ごはん(中盛り)が1.5SV と定義されているので、必要カロリーを満たすためには約4杯分必要であると計算できます。
食事バランスガイドを基にして、実際にどの程度の量を食べるべきか調べる際は、まず、年齢や運動量などから決まる1日の必要カロリーを知る必要があります。必須カロリーの調べ方にはさまざまな方法がありますが、簡易的な考え方では以下のように分類できます。
性別 | 身体活動量 | 必要カロリー |
男性 | 低い | 2,000~2,400kcal |
普通以上 | 2,400~3,000kcal | |
女性 | 低い | 1,400~2,000kcal |
普通以上 | 2,000~2,400kcal |
必要カロリーが分かったら、1日の適量を見てみましょう。
農林水産省が示す必要カロリー別の1日の適量は以下のとおりです。
必要カロリー | 主食 | 副菜 | 主菜 | その他の食品 | |
牛乳・乳製品 | 果物 | ||||
1,400〜2,000kcal | 4〜5SV | 5〜6SV | 3〜4SV | 2SV | 2SV |
2,000〜2,400kcal | 5〜7SV | 5〜6SV | 3〜5SV | 2SV | 2SV |
2,400〜3,000kcal | 6〜8SV | 6〜7SV | 4〜6SV | 2〜3SV | 2〜3SV |
ご自身の1日の必要カロリーを把握した上で、どの程度の量を摂取すべきなのかを見極めましょう。(※2※3)
(※2)参考:厚生労働省・農林水産省「「食事バランスガイド」で実践 毎日の食生活チェックブック」 (入手日付2023-10-29)
(※3)「実践食育ナビ」 (入手日付2023-10-29)
栄養バランス①主食
主食には、炭水化物の重要な供給源となるごはん・パン・麺を主な材料とする料理が含まれます。
主食1SV当たりの炭水化物は約40gで、1SV・1.5SV・2SVの料理例は以下のとおりです。
主食量 | 料理例 |
1SV | ごはん小盛り1杯 おにぎり1個 食パン1枚 ロールパン2個 |
1.5SV | ごはん中盛り1杯 |
2SV | うどん1杯 もりそば1杯 スパゲティー1皿 |
1日の必要カロリーが2,000〜2,400kcalの場合、1日の主食の摂取量は5〜7SVが目安になります。例えば、朝食・夕食でごはん中盛り1杯、昼食でうどん1杯を主食として食べると5SVです。
※参考:厚生労働省・農林水産省 「「食事バランスガイド」で実践 毎日の食生活チェックブック」P23(入手日付2023-10-18)
栄養バランス②副菜
副菜は、主食・主菜だけでは補うことが難しいビタミン・ミネラル・食物繊維の供給源となります。主に野菜・きのこ・いも・海藻・豆類(大豆を除く)などの食品を使った、いわゆるおかずのことです。
食事バランスガイドでは、副菜1SV当たりのメインとなる材料の重量は約70gとされています。(※4)1SV・2SVの料理例は以下のとおりです。
主食量 | 料理例 |
1SV | 野菜サラダ きゅうりとわかめの酢の物 具だくさん味噌汁 ほうれん草のおひたし ひじきの煮物 煮豆 きのこソテー |
2SV | 野菜の煮物 野菜炒め いもの煮っころがし |
1日の必要カロリーが2,000〜2,400kcalの場合、1日の副菜の摂取量は5〜6SVが目安になります。例えば、朝食にほうれん草のおひたし、昼食に野菜サラダ、夕食に野菜炒めと具だくさん味噌汁を副菜として食べると5SVです。
(※4)参考:厚生労働省・農林水産省「「食事バランスガイド」で実践 毎日の食生活チェックブック」P23 (入手日付2023-10-18)
栄養バランス③主菜
主菜は主にたんぱく質の供給源となるおかずです。主に肉・魚・卵・大豆製品を使った料理が主菜になります。
食事バランスガイドによると、主菜1SV当たりのメインとなる肉・魚・卵・大豆製品に由来するたんぱく質量は約6gです。(※5)1SV・2SV・3SVの料理例を見てみましょう。
主食量 | 料理例 |
1SV | 冷奴 納豆 目玉焼き1皿 |
2SV | 焼き魚 魚の天ぷら マグロとイカの刺身 |
3SV | ハンバーグ 豚肉の生姜焼き 鶏肉の唐揚げ |
1日の必要カロリーが2,000〜2,400kcalの場合、1日の主菜の摂取量は3〜5SVが目安になります。例えば、朝食に目玉焼き、昼食に納豆、夕食に焼き魚を主菜として食べると4SVです。
(※5)参考:厚生労働省・農林水産省 「食事バランスガイド」で実践 毎日の食生活チェックブックP23(2023-10-18)
栄養バランス④その他の食品
その他の食品を大きく分けると、カルシウムの供給源となる牛乳・乳製品と、ビタミンCやカリウムの供給源となる果物の2つに分けられます。
牛乳・乳製品の代表的な食品は、牛乳・ヨーグルト・チーズなどです。食事バランスガイドによると、メインの材料に由来するカルシウム量が約100mgで1SVになります。(※6)牛乳・乳製品1SV・2SVの例は以下のとおりです。
主食量 | 料理例 |
1SV | 牛乳コップ0.5杯 チーズ1欠け スライスチーズ1枚 ヨーグルト1パック |
2SV | 牛乳コップ1杯 |
1日の必要カロリーが2,000〜2,400kcalの場合、1日の牛乳・乳製品の摂取量は2SVが目安になります。1日に牛乳1本を飲めば、1日に必要なカルシウム量の3分の1程度を確保できます。
果物の代表的な食品は、りんご・みかん・梨などの果物や、いちご・スイカ・メロンのような果実的野菜です。食事バランスガイドによると、果物の重量約100gで1SVとなります。(※6)1SVの例は以下のとおりです。
【1SV】
- みかん1個
- りんご0.5個
- かき1個
- 梨0.5個
- ぶどう0.5房
- もも1個
1日の必要カロリーが2,000〜2,400kcalの場合、1日の果物の摂取量は2SVが目安になります。1日にりんご1個を食べると2SVです。
ここまで紹介した食事に加えて、「おやつが欠かせない」「お酒も飲みたい」という方もいるかもしれません。厚生労働省によると、朝食・昼食・夕食以外で口にするおやつやジュース、お酒、菓子パン、ファストフードなどは全て間食です。
一般的に間食は、1日約200kcalが適量だと言われています。栄養バランスの良い食事を心掛ける際は、間食でカロリーを摂取しすぎないようにすることも意識するといいでしょう。
(※6)参考:厚生労働省・農林水産省 「「食事バランスガイド」で実践 毎日の食生活チェックブック」P23 (入手日付2023-10-18)
「バランス良く摂取したい」三大栄養素
三大栄養素は、私たち人間が体を動かすために必要な栄養素のことで、タンパク質・炭水化物・脂質の3つの栄養素をまとめたものを指します。体を動かすために必要なエネルギーを作り出すため、エネルギー産生栄養素とも呼ばれます。栄養素にはさまざまなものがありますが、中でも三大栄養素は、毎日意識して摂取したい栄養素です。
それぞれどのような栄養素なのか詳しく見ていきましょう。
栄養素①たんぱく質
たんぱく質は、筋肉・髪の毛・皮膚・臓器・血液などさまざまな組織の原料となる栄養素です。酵素・ホルモン・抗体など、体の機能を調整する働きも持っています。
たんぱく質は私たちが生きていくために欠かせない栄養素で、20種類 のアミノ酸から構成されています。そのうち9種類 は必須アミノ酸と呼ばれ、体内では作り出せない成分のため、食事からの摂取が重要です。(※7)
たんぱく質を多く含む食品には、肉・魚・卵・乳製品・大豆製品・穀物などがあります。
(※7)参考:厚生労働省「e-ヘルスネット|アミノ酸」 (入手日付2023-10-19)
栄養素②炭水化物
炭水化物は、大きく分けて糖質と食物繊維に分けられます。そのうち体内で消化される糖質は、主に脳が働くために必要なエネルギー源となります。
糖質
摂取した糖質は体内で消化されてブドウ糖になり、脳を始めとしたさまざまな組織にエネルギーを供給します。体の組織の中で脳・神経組織・赤血球などは、ブドウ糖でしかエネルギーを供給できません。糖質が不足していると、集中力が維持できなくなります。
糖質を多く含むのは、ごはん・パン・麺類・いも類などです。
※参考:厚生労働省「e-ヘルスネット|炭水化物 / 糖質(たんすいかぶつ / とうしつ)」 (入手日付2023-10-29)
食物繊維
前述したとおり、食物繊維は炭水化物の一種です。体内で消化される糖質と異なり、体内で消化されずに大腸に届きます。腸内環境を整える効果があるため、便秘の方やお腹の調子が悪い方は積極的に取りたい栄養素です。
また糖質と一緒に摂取すると、糖質の吸収を抑えられるため、生活習慣病の予防・改善にも効果が期待できます。
食物繊維は現代人に不足している栄養素の代表格です。ごぼう・キャベツ・いも類・きのこ・海藻・柑橘類などに豊富に含まれます。
栄養素③脂質
脂質も体を動かすエネルギー源となる栄養素です。脂質を摂取すると、体内で脂肪酸に分解されて、エネルギーを供給します。
また脂質は、細胞膜などを構成するためにも欠かせない成分です。ただし消費できなかった脂質は脂肪として蓄積するため、取りすぎには注意しなければなりません。
脂質を多く含むのは、サラダ油・オリーブオイル・バター・牛肉・豚肉・魚などです。特に魚に含まれる脂質であるDHAやEPAは、体内で合成できない必須脂肪酸なので、積極的に摂取する必要があります。
※参考:厚生労働省「e-ヘルスネット|不飽和脂肪酸(ふほうわしぼうさん)」 (入手日付2023-10-29)
三大栄養素以外の不足しがちな栄養素
続いて、三大栄養素以外に意識して摂取したい栄養素、ビタミン・鉄分・カルシウム・カリウムをご紹介します。いずれも不足しやすい栄養素なので、積極的に摂取しましょう。それぞれの栄養素の働きや多く含まれる食品は以下のとおりです。
栄養素①ビタミン
ビタミンは、タンパク質・炭水化物(糖質)・脂質の代謝を促し、体の調子を整えるために欠かせない栄養素です。特に以下のビタミンを意識して摂取しましょう。
体内での働き | 多く含まれる食品 | |
ビタミンA | 目・皮膚・粘膜の健康を維持する 抵抗力を高める 暗所での視力を保つ |
レバー・卵黄・バター・にんじん・モロヘイヤ・ほうれん草・うなぎ |
ビタミンB1 | 炭水化物(糖質)をエネルギーに変える 皮膚や粘膜の健康を維持する |
豚肉・レバー・豆類・玄米など穀類のはい芽 |
ビタミンB2 | 脂肪の燃焼や細胞の新陳代謝を促進する 皮膚・髪・爪などの発育に欠かせない |
レバー・納豆・うなぎ・牛乳・卵 |
ビタミンC | 皮膚やコラーゲンの合成に関わる 免疫力を高める ストレスを抑え、自律神経を安定させる |
ブロッコリー・ほうれん草・パプリカ・キャベツ・ミニトマト・柑橘類 |
ビタミンD | 骨の成長を促す カルシウムの吸収を促す |
鮭・うなぎ・サンマ・サバ・マグロ・チーズ・きのこ類 |
ビタミンE | 脂質の酸化を防ぐ 動脈硬化や血栓を予防する |
卵・オリーブオイル・アボカド・大豆・うなぎ・ナッツ類 |
栄養素②鉄分
鉄分は、全身に酸素を運ぶ働きをするミネラルの一種です。鉄分が不足すると、全身に酸素がうまく届かなくなるので、貧血を引き起こす恐れがあります。
鉄分は吸収率が高いヘム鉄と非ヘム鉄に分類されます。ヘム鉄を多く含む栄養素は、レバー・赤身肉・さんま・カツオなどです。一方で非ヘム鉄は、小松菜・豆乳・牛乳・卵などに多く含まれます。ビタミンCと一緒に摂ると非ヘム鉄の吸収率を高めてくれます。
料理例としては、豚肉と小松菜の卵炒めにトマトなどを含むサラダを合わせるのが挙げられます。ビタミンCは加熱すると壊れてしまうため、なるべく加熱せずに食べられる食品から摂取するのがおすすめです。
栄養素③カルシウム
カルシウムは体を支え、内臓を保護する働きを持つ骨や、歯の健康を維持しています。カルシウムだけではスムーズに吸収が行われないため、ビタミンDと一緒に摂取することが大切です。
料理例としては、鮭ときのこのグラタンがおすすめです。
牛乳・ヨーグルト・納豆・ししゃも・イワシなどに多く含まれています。
栄養素④カリウム
カリウムは、体内の浸透圧を調整し、取りすぎたナトリウムを排出する働きを持っている栄養素です。また、筋肉の収縮や神経伝達にも関係し、不足すると食欲減退や倦怠感、精神障害などの症状がみられることがあります。
カリウムを多く含む食品は、ほうれん草・にんじん・バナナ・メロン・わかめ・ひじきなどです。
栄養バランスの良い食事で健康的な生活を!
栄養バランスが良い食事の基本や、積極的に取りたい栄養素を紹介しました。栄養バランスの良い食事を取るには、一汁三菜を基本とし、主食・副菜・主菜とその他の食品のバランスを考えた食事を取ることが大切です。
健康的な生活を送るためにも、日常的に栄養を意識した食事を心掛けましょう。
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