塩分の一日の摂取量は?日本人の目安や塩分コントロールのコツも紹介!
塩分の取りすぎは高血圧を始めとする生活習慣病のリスクを高めるといわれています。塩分の一日の摂取量をチェックした上で、摂取目安量を超えないよう食事の調理法に工夫を取り入れましょう。
本記事では、一日の塩分摂取量の目安と、年代別・地域別の平均塩分摂取量、食事で塩分をコントロールする方法や習慣化するコツについて解説します。塩分を取りすぎた場合のリスクについても紹介しているので、普段の食生活での塩分が気になっている人はぜひ参考にしてください。
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一日の塩分摂取量の目安について
一日の塩分摂取量の目安については、WHO(世界保健機構)のガイドラインや、厚生労働省が策定した『日本人の食事摂取基準(2020年版)』で提示されています。まずWHOの基準では、全ての成人に対して、一日あたりのナトリウム摂取量を2,000mg(食塩相当量で5g)未満 に抑えることを推奨しています。
ただし、日本人の食生活は諸外国に比べて塩分摂取量が多いため、WHOが提示する基準を満たすのは困難です。そのため、日本ではWHOの基準と『平成28年国民健康・栄養調査』における摂取量の中央値との中間値を基に、成人男性の食塩相当塩分摂取量は7.5g未満、女性は6.5g未満 を一日当たりの目標値に掲げています。(※1)
なお、これはあくまで健康な成人の場合です。高血圧で治療中の人や高血圧を予防したい人は、一日あたりの塩分摂取量は6g未満 が推奨されています。
(※1)参考:厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」p276, 277 (入手日付2023-10-14)
食塩相当量について
食塩相当量とは、食品に含まれるナトリウムの量を食塩の量に換算した値のことです。日本人のナトリウム摂取量は食塩摂取量に依存しているため、塩分摂取量も食塩相当量で示されています。
食塩相当量(g)の計算式は、ナトリウム量(mg)×2.54÷1,000です 。例えばナトリウム量が500mgの場合の食塩相当量は、500×2.54÷1,000=1.27gとなります。
市販されている加工食品などを購入する際は、成分表示の食塩相当量を参考にするとよいでしょう。なお、食塩相当量には調味料として使用した食塩の量だけでなく、素材そのもののナトリウム量も含まれています。
ナトリウム量の代表例としては、以下の2つがあります。
- 食塩由来のもの
- グルタミン酸ナトリウムやアスコルビン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどに由来するもの
減塩の目安について
普段の食生活でどれだけ塩分を減らせばよいのか知るためには、まず現時点でどのくらい塩分を摂取しているのか把握する必要があります。
塩分摂取量は食事の内容に依存するため個人差があるものの、厚生労働省が実施している国民健康・栄養調査によると、令和元年における日本人の食塩摂取量の平均値は10.1g です。性別で見ると、男性は10.9g/日、女性は9.3g/日 となっています。前述した塩分摂取量の目安と比べると、男性は3.4g/日、女性は2.8g/日も上回っている計算になります。(※2)
現代日本の食生活では、基本的にナトリウム摂取量が不足する心配はないため、上記の差分を目安に、男女ともに一日あたり3gの減塩を目指すのが理想です。また以下に該当する人は、より多くの減塩を目標にする必要があります。
- 普段から塩辛い食べ物などを好んで食べている自覚がある人
- 高血圧気味の人
- 高血圧を予防したい人
より詳細な減塩の目安を知りたい場合は、普段の食事から塩分摂取量を計算し、塩分摂取量の目安と比較してみましょう。日常生活における具体的な減塩方法について、詳しくは後述します
(※2)参考:厚生労働省 「令和元年国民健康・栄養調査結果の概要」p24 (入手日付2023-10-14)
日本人の一日あたりの平均塩分摂取量について
平均値が推奨目安量を超えている日本人の塩分摂取量ですが、一日当たりの平均塩分摂取量は、年代や地域によって差があることが分かっています。
ここでは日本人の一日あたりの平均塩分摂取量を年代別・地域別に紹介します。
【年代別】平均塩分摂取量
厚生労働省が公開している『令和元年国民健康・栄養調査結果の概要』によると、年代別の食塩摂取量は以下のようになっています。(※3)
年齢 | 男性 | 女性 |
20~29歳 | 10.6g | 8.3g |
30~39歳 | 10.4g | 8.5g |
40~49歳 | 10.6g | 8.9g |
50~59歳 | 10.6g | 9.2g |
60~69歳 | 11.5g | 10.0g |
70歳以上 | 11.2g | 9.5g |
男性・女性ともに、どの年代でも厚生労働省が提示する塩分摂取量の目安を上回っています。
特に食塩摂取量が多いのは60代以降です。理由としては、以下のようなものが考えられます。
- 塩分含有量の多い和食を好む人が多い
- 加齢による味覚の低下により、気付かないうちに塩分を取りすぎている唾液の分泌量が減少して味蕾(みらい)の感度が鈍くなり、濃い味を好むようになっている など
(※3)参考:厚生労働省 「令和元年国民健康・栄養調査結果の概要」p23 (入手日付2023-10-14)
【地域別】平均塩分摂取量
日本は縦に長い島国なので、地域によって食生活にも多少の違いがあります。そのため同じ日本でも、都道府県ごとに食塩摂取量の平均値に差が生じています。
以下では厚生労働省が公開している『平成28年国民健康・栄養調査報告』を元に、都道府県ごとの平均塩分摂取量を男女別にまとめました。(※4)
地域 | 男性の塩分摂取量平均値(g/日) | 女性の塩分摂取量平均値(g/日) |
北海道 | 10.7 | 9.1 |
青森県 | 11.3 | 9.7 |
岩手県 | 10.7 | 9.3 |
宮城県 | 11.9 | 9.4 |
秋田県 | 11.6 | 9.6 |
山形県 | 11.0 | 9.8 |
福島県 | 11.9 | 9.9 |
茨城県 | 11.2 | 9.4 |
栃木県 | 10.6 | 9.0 |
群馬県 | 10.9 | 9.3 |
埼玉県 | 11.0 | 9.4 |
千葉県 | 11.1 | 9.7 |
東京都 | 11.0 | 9.1 |
神奈川県 | 10.4 | 9.2 |
新潟県 | 11.3 | 9.4 |
富山県 | 11.0 | 8.9 |
石川県 | 11.5 | 9.2 |
福井県 | 10.5 | 9.1 |
山梨県 | 11.1 | 9.4 |
長野県 | 11.8 | 10.1 |
岐阜県 | 10.7 | 9.0 |
静岡県 | 10.3 | 9.0 |
愛知県 | 10.6 | 9.3 |
三重県 | 10.7 | 9.0 |
滋賀県 | 10.1 | 8.7 |
京都府 | 10.7 | 9.0 |
大阪府 | 9.9 | 8.4 |
兵庫県 | 10.5 | 9.1 |
奈良県 | 10.6 | 9.2 |
和歌山県 | 10.6 | 8.8 |
鳥取県 | 10.3 | 8.9 |
島根県 | 11.1 | 9.6 |
岡山県 | 10.1 | 8.4 |
広島県 | 11.2 | 9.0 |
山口県 | 10.7 | 8.7 |
徳島県 | 10.2 | 9.1 |
香川県 | 10.6 | 8.6 |
愛媛県 | 10.7 | 9.1 |
高知県 | 9.8 | 8.4 |
福岡県 | 11.7 | 9.5 |
佐賀県 | 10.6 | 8.7 |
長崎県 | 10.5 | 8.7 |
熊本県 | – | – |
大分県 | 10.4 | 8.8 |
宮崎県 | 10.7 | 9.4 |
鹿児島県 | 11.3 | 9.3 |
沖縄県 | 9.1 | 8.0 |
塩分摂取量が多い地域をチェックしてみると、宮城県や福島県、秋田県、青森県など東北地方の地域が多いことが分かります。
東北地方は降雪量が多く、かつ、気温が低い地域であることから、収穫した食料を塩漬けにして保存する風習が根付いています。そのせいか、他の地域に比べると塩分摂取量の平均値が高い傾向にあるようです。
(※4)参考:厚生労働省 「令和元年国民健康・栄養調査結果の概要」p4 (入手日付2023-10-18)
食事の際に一日の塩分摂取量をコントロールするコツ
減塩の基本は、食生活の見直しです。毎日の食事に少しのコツを採り入れれば、効率よく塩分摂取量を減らすことが可能です。
ここでは食事の際に一日の塩分摂取量をコントロールするコツを5つご紹介します。
コツ①塩分が多いおかずや加工食品を避ける
手っ取り早く減塩したいのなら、塩分の多いおかずや加工食品を避けることが大切です。例えばご飯のお供になる漬け物や佃煮は塩分が多いので、食べるのを控えるか、少量に留めるようにしましょう。またソーセージやハム、練り物などは塩分を多く使っている食品なので、一日に食べる量を意識して調節しましょう。
おかずや加工食品以外にも、意外と塩分が多く含まれているものがいくつかあります。主食では、食パン6枚切り1枚分に0.8g、ゆでうどん麺1食に0.7gの食塩が含まれています。 バターを塗ったり掛けつゆにつけたりして食べる場合、塩分量はさらに上乗せとなるため要注意です。塩分の多いおかずや加工食品を控えるとともに、主食の食べ方にも注意を払うことをおすすめします。
コツ②料理中に使用する調味料の量を減らす
塩や醤油、味噌など料理中に使用する調味料の量を減らすのも、有効な減塩方法の一つです。ただし調味料の量を極端に減らすと、料理に味気がなくなり、物足りなさやストレスを感じる原因になります。反動で味の濃いものを食べたくなる恐れもあるので、少しずつ使用量を減らし、徐々に薄味の料理に慣れていきましょう。
コツ③減塩調味料を使う
最近は複数の食品メーカーから、通常のものより塩分の含有量を減らした減塩調味料が販売されています。減塩調味料を使えば、食事のメニューを変えずに効率よく塩分を減らすことが可能になるので、積極的に取り入れてみましょう。
コツ④カリウムを積極的に取り入れる
カリウムとは、浸透圧の調整などを担う人体に必要なミネラルの一種です。体内の余分なナトリウムを排出する作用があるため、塩分の取りすぎを調整するのに役立ちます。『日本人の食事摂取基準(2020年版)』では、カリウムの一日あたりの摂取量は成人男性で2,500mg/日、女性で2,000mg/日 とされています。(※5)(※6)
カリウムを多く含む食材の例は、以下のとおりです。
- わかめやひじき、昆布などの藻類
- あんずやいちじく、ぶどうなどの果実類
- さつまいもやさといもなどのいも類
- 納豆や豆乳などの豆類 など
豚肉や鶏肉、青魚などにも多く含まれますが、これらは調理法によっては塩分量が多くなるので注意しましょう。
(※5)参考:厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」p281 (入手日付2023-10-14)
(※6)参考:厚生労働省 「e-ヘルスネット|カリウム(かりうむ)」 (入手日付2023-10-29)
コツ⑤食物繊維を積極的に取り入れる
食物繊維は小腸で消化・吸収されず、大腸まで届く食品成分です。摂取した食物繊維は体内にある余分な塩分を吸着し、そのまま便と一緒に体外へ排出されます。食物繊維の目安となる摂取量は性別や年齢によって異なります。大まかな摂取量の目標は、18歳以上の男性なら約20.39g/日、女性なら約16.92 gです。
食物繊維は魚介類や肉類といった動物性食品にはほとんどなく、植物性食品に豊富に含まれています。具体的には、以下のような食べ物を意識的に摂取するのがおすすめです。
- 主食:玄米ご飯や麦ご飯、全粒小麦パンなど
- 豆類:インゲン豆やあずきなど
- 野菜類:切り干し大根やさつまいもなど
- きのこ類:しめじやまいたけなど
- 藻類:わかめやひじきなど
塩分摂取量のコントロールを習慣化させるコツ
減塩は短期間だけ続ければいいというわけではなく、長く継続していくことが大切です。
ここでは塩分摂取量のコントロールを習慣化させるためのコツを3つご紹介します。
コツ①塩分の代わりに酸味や辛味などを活用する
塩分の塩分を減らすと、薄味に慣れるまでは物足りなさを感じることがあります。そのようなときは、塩気の代わりに酸味や辛味などを活用しましょう。薬味やスパイスなどをうまく活用すれば、料理に程よいアクセントがつき、満足感を覚えやすくなります。
ただし、酸味や辛味をプラスするスパイスや調味料の中には、塩分が含まれるものもあります。成分表示をよく確認し、食塩相当量をチェックしてから使用しましょう。
コツ②出汁のうまみを効かせる
出汁をよく効かせると、減塩しても味に深みが増して物足りなさを感じにくくなります。出汁のうまみ成分には、グルタミン酸やイノシン酸、グアニル酸など複数の種類があります。グルタミン酸はチーズや味噌など、イノシン酸は肉類や魚類、グアニル酸は干したキノコなどが主な原料です。それぞれ風味が異なる上、複数合わさると相乗効果を発揮するので、料理をする際はいろいろな出汁を活用してみましょう。
コツ③旬の食材を使うことを心掛ける
野菜や果物、魚介類などには、それぞれ食べ頃になる旬があります。旬の食材は、他の時期に比べるとうまみが強く、調味料をさほど使わなくても食べ応えのある料理に仕上がります。季節に応じて旬の食材を積極的に採り入れることを意識してみましょう。
塩分を取りすぎると引き起こす恐れがある症状
塩分を過剰に摂取すると、高血圧や、高血圧を介した慢性腎臓病のリスクが高くなるといわれています。また、食塩の摂取とがんの関係についても多くの報告があり、特に胃がんの罹患率を上昇させる可能性があることが示唆されています。むくみなど、日常生活に支障の出る症状が現れることもあるようです。
健康的な体を維持したいのなら、日頃から減塩を心掛け、塩分の取りすぎの予防に努めましょう。
適切な一日の塩分摂取量で健康的な生活を!
塩分を取りすぎると、むくみが起こりやすくなる他、高血圧や慢性腎臓病、がんなどの病気に罹患するリスクが高くなるといわれています。
日本人は一日あたりの塩分摂取量が多い傾向にあります。塩分が多いおかずや加工食品を避ける、調味料を減らす、減塩調味料を活用するなどの工夫を採り入れ、減塩に努めましょう。
塩分の代わりに酸味や辛味を効かせたり、出汁のうまみを活用したりすると、減塩を習慣化させやすくなります。
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