脂質とは?脂質の多い食べ物や男性・女性の一日の脂質摂取量などを解説
人は生活していく上でさまざまな栄養素を摂取しなければなりません。人に欠かせない栄養素の1つとして脂質が挙げられます。脂質は摂取しすぎると体に悪影響を及ぼすというイメージが一般的です。しかし、脂質は人の体を作る上で欠かせない栄養素です。
本記事では、脂質について解説した上で、脂質の多い食べ物や1日の脂質摂取量の目安、過剰摂取のリスクなどを紹介します。
<もくじ>
●脂質とは ―脂肪酸 ―肉類 ―魚介類 ―油 ―ナッツ類 ―穀類 |
脂質とは
食べ物に含まれる栄養素のうち、体を動かす主なエネルギー源となる「炭水化物」「たんぱく質」「脂質」のことを三大栄養素と言います。
脂質は、炭水化物やたんぱく質と比較するとエネルギー効率が高い栄養素です。炭水化物、たんぱく質が1gあたり4キロカロリーのエネルギーを作り出すのに対して、脂質は1gあたり9キロカロリー のエネルギーを作り出します。
脂質はエネルギー源以外にもホルモンや核膜を構成する栄養素です。また、皮下脂肪として臓器を守る、体を寒さから守るなどの役割も担っています。
脂質はエネルギー源やホルモンの構成など、体に欠かせない重要な役割を担っていますが、摂取しすぎには注意が必要です。脂質を摂取しすぎると肥満の原因になります。脂質は糖質やたんぱく質よりも1gあたりのカロリーが高いためです。
コレステロール
コレステロールは脂質の一種です。コレステロールはがんや心臓病、脳卒中といった生活習慣病の原因として知られており、過剰に摂取すると生活習慣病のリスクが高まると言われています。しかし、コレステロールはホルモンや脂肪を消化吸収するための胆汁酸を生成するために必要な栄養素でもあります。
コレステロールは次の2つに分けられます。
- LDL(悪玉)コレステロール
- HDL(善玉)コレステロール
LDL(悪玉)コレステロール
LDL(悪玉)コレステロールは、ほとんどが肝臓をはじめとした体内で作り出されます。残りの一部は食事からの摂取です。LDL(悪玉)コレステロールは本来であれば、ホルモンや細胞膜を形成するのに役立てられます。しかし、血中のLDL(悪玉)コレステロールの量が増えてしまうと、血管壁に沈着します。LDL(悪玉)コレステロールが血管壁に沈着してしまうと、炎症反応が起き血管内部が傷つきかねません。血管内部が傷つくと動脈硬化によって心筋梗塞や脳梗塞になる恐れがあります。
HDL(善玉)コレステロール
LDL(悪玉)コレステロールに対して、体内に蓄積されたコレステロールを回収して、肝臓に運ぶ役割を担っているのがHDL(善玉)コレステロールです。HDL(善玉)コレステロールは血栓の予防や血液凝固の予防など、動脈硬化を防ぐ作用があるとされています。
コレステロールについてはこちらの記事 でも詳しく解説しています。
脂肪酸
脂質を構成している主な要素が脂肪酸です。脂肪酸は次の3つの種類に分けられます。
- 飽和脂肪酸
- 一価不飽和脂肪酸
- 多価不飽和脂肪酸
飽和脂肪酸
飽和脂肪酸は乳製品や肉などに含まれている脂肪酸です。一般的な飽和脂肪酸には、パルミト酸(16炭素)、ステアリン酸(18炭素)などがあり、エネルギーとして使われやすく、人が自ら体内で生成もできます。乳製品や肉に含まれるため過剰摂取になりやすく、摂取しすぎると心筋梗塞などの循環器系の疾患につながると考えられています。
一価不飽和脂肪酸
一価不飽和脂肪酸はオメガ9系脂肪酸とも呼ばれます。一価不飽和脂肪酸が含まれているのは、オリーブオイル、アボカドなどです。一価不飽和脂肪酸は悪玉(LDL)コレステロールを減らし、善玉(HDL)コレステロールはそのまま維持すると言われています。一価不飽和脂肪酸を摂取することで動脈硬化の防止などの良い影響をもたらすと期待されています。
多価不飽和脂肪酸
多価不飽和脂肪酸は魚油や植物油、くるみなどに含まれている脂肪酸です。多価不飽和脂肪酸には血圧を下げる効果が期待されています。また、悪玉(LDL)コレステロールの減少にも効果的と考えられています。
脂質が多く含まれている食べ物について
脂質を多く含む代表的な食品は次のとおりです。
- 肉類
- 魚介類
- 卵類・乳製品
- 油
- ナッツ類
- 穀類
肉類
肉類の中でも100gあたりの脂質、一価不飽和脂肪酸などを豊富に含んでいるのは、次のような食品です。(※1)
食品 | 状態 | 脂質 | 飽和脂肪酸 | 一価不飽和脂肪酸 | 多価不飽和脂肪酸 |
牛(交雑牛肉)リブロース | 脂身、生 | 86.7g | 29.61g | 47.13g | 2.56g |
豚(中型種肉)ロース | 脂身、生 | 78.3g | 31.96g | 34.25g | 8.02g |
牛(和牛肉)もも | 脂身、生 | 75.4g | 24.22g | 40.31g | 1.58g |
豚 レバーペースト | ─ | 34.7g | 12.93g | 14.31g | 4.42g |
豚 ロースハム | フライ | 32.3g | 3.84g | 17.95g | 7.53g |
豚 ウインナーソーセージ | 焼き | 31.8g | 11.69g | 14.24g | 3.85g |
豚 セミドライソーセージ | ─ | 29.7g | 11.17g | 12.92g | 3.54g |
牛(和牛肉)かたロース 赤肉 | 生 | 26.1g | 8.28g | 14.17g | 0.83g |
牛(和牛肉)サーロイン 赤肉 | 生 | 25.8g | 9.14g | 13.29g | 0.62g |
牛(輸入牛肉)リブロース 脂身つき | 焼き | 23.9g | 11.05g | 9.30g | 0.55g |
肉と言っても部位や種類によって脂質や脂肪酸の含有量が異なることが分かります。
(※1)参考:文部科学省.「食品成分データベース」.第2章第1表(データ)(入手日付2024-02-10)
魚介類
魚介類の中でも、100gあたりの脂質や飽和脂肪酸などの含有量が多いものは次のとおりです。(※2)
食品 | 状態 | 脂質 | 飽和脂肪酸 | 一価不飽和脂肪酸 | 多価不飽和脂肪酸 |
あんこう きも | 生 | 41.9g | 9.29g | 14.15g | 11.88g |
まいわし | フライ | 30.3g | 3.90g | 14.66g | 8.22g |
みなみまぐろ | 生 | 28.3g | 6.06g | 10.62g | 7.68g |
くろまぐろ(天然)脂身 | 生 | 27.5g | 5.91g | 10.20g | 6.41g |
さんま 皮つき | 生 | 25.6g | 4.84g | 10.58g | 6.35g |
まさば | フライ | 25.1g | 4.68g | 10.11g | 6.17g |
さんま 皮つき | 焼き | 22.8g | 4.31g | 9.03g | 5.61g |
まさば | 焼き | 22.4g | 5.87g | 6.68g | 3.84g |
たちうお | 生 | 20.9g | 5.83g | 7.26g | 3.87g |
ぶり(成魚) | 焼き | 20.4g | 4.87g | 4.83g | 4.15g |
魚介類は肉類よりも多価不飽和脂肪酸を豊富に含んでいることが分かります。
(※2)参考:文部科学省.「食品成分データベース」.第2章第1表(データ)(入手日付2024-02-10)
卵類・乳製品
卵類・乳製品の中でも100gあたりで脂質を多くを含んでいる食べ物は次のとおりです。(※3)
食品 | 状態 | 脂質 | 飽和脂肪酸 | 一価不飽和脂肪酸 | 多価不飽和脂肪酸 |
鶏卵 卵黄 | 乾燥卵黄 | 62.9g | 18.41g | 22.95g | 9.17g |
鶏卵 全卵 | 乾燥全卵 | 42.0g | 12.29g | 15.32g | 6.12g |
鶏卵 卵黄 | 生 | 34.3g | 9.39g | 13.00g | 4.54g |
鶏卵 全卵 | 焼き | 17.6g | 3.81g | 7.89g | 3.08g |
うずら卵 全卵 | 生 | 13.1g | 3.87g | 4.73g | 1.61g |
クリーム 乳脂肪 | ─ | 43.0g | 26.28g | 9.89g | 1.37g |
ホイップクリーム 乳脂肪 | ─ | 40.7g | 24.98g | 9.34g | 1.25g |
ナチュラルチーズ クリーム | ─ | 33.0g | 20.26g | 7.40g | 0.89g |
プロセスチーズ | ─ | 26.0g | 16.00g | 6.83g | 0.56g |
アイスクリーム 高脂肪 | ─ | 12.0g | 7.12g | 2.79g | 0.34g |
卵類・乳製品の中でも乳製品に含まれる乳脂肪は、消化吸収されやすいという特徴があります。そのため、消化器に負担をかけずに摂取可能と言われています。
(※3)参考:文部科学省.「食品成分データベース」.第2章第1表(データ)(入手日付2024-02-10)
油
100gあたりの油に含まれる脂質は次のとおりです。(※4)
食品 | 状態 | 脂質 | 飽和脂肪酸 | 一価不飽和脂肪酸 | 多価不飽和脂肪酸 |
ラード | ─ | 100g | 39.29g | 43.56g | 9.81g |
えごま油 | ─ | 100g | 7.64g | 16.94g | 70.60g |
あまに油 | ─ | 100g | 8.09g | 15.91g | 71.13g |
ショートニング 家庭用 | ─ | 99.9g | 46.23g | 35.54g | 11.56g |
牛脂 | ─ | 99.8g | 41.05g | 45.01g | 3.61g |
マーガリン 家庭用 有塩 | ─ | 83.1g | 23.04g | 39.32g | 12.98g |
無発酵バター 食塩不使用バター | ─ | 83.0g | 52.43g | 18.52g | 2.05g |
無発酵バター 有塩バター | ─ | 81.0g | 50.45g | 17.97g | 2.14g |
発酵バター 有塩バター | ─ | 80.0g | 50.56g | 17.99g | 2.15g |
油の中でもえごま油やあまに油といった植物油脂類は飽和脂肪酸が少ないことが特徴です。一方、ラードやショートニングなどは飽和脂肪酸が多い傾向があります。
(※4)参考:文部科学省.「食品成分データベース」.第2章第1表(データ)(入手日付2024-02-10)
ナッツ類
ナッツ類の中でも100gあたりの脂質含有量が多いのは次のような食べ物です。(※5)
食品 | 状態 | 脂質 | 飽和脂肪酸 | 一価不飽和脂肪酸 | 多価不飽和脂肪酸 |
マカダミアナッツ(味付け) | 煎り | 76.7g | 12.46g | 59.23g | 1.56g |
くるみ | 煎り | 68.8g | 6.87g | 10.26g | 50.28g |
ピスタチオ(味付け) | 煎り | 56.1g | 6.15g | 30.92g | 16.42g |
アーモンド | 乾燥 | 51.8g | 3.95g | 33.61g | 12.12g |
カシューナッツ(味付け) | フライ | 47.6g | 9.97g | 27.74g | 8.08g |
えごま | 乾燥 | 43.4g | 3.34g | 6.61g | 28.83g |
ナッツ類はいずれも不飽和脂肪酸を豊富に含んでいます。
(※5)参考:文部科学省.「食品成分データベース」.第2章第1表(データ)(入手日付2024-02-10)
穀類
穀類の中でも100gあたりで脂質を豊富に含んでいるのは、次のような食べ物です。(※6)
食品 | 状態 | 脂質 | 飽和脂肪酸 | 一価不飽和脂肪酸 | 多価不飽和脂肪酸 |
とうもろこし ポップコーン | ─ | 22.8g | 6.30g | 6.76g | 7.73g |
米ぬか | ─ | 19.6g | 3.45g | 7.37g | 5.90g |
小麦はいが | ─ | 11.6g | 1.84g | 1.65g | 6.50g |
パン粉 乾燥 | ─ | 6.8g | 2.47g | 2.04g | 1.35g |
パン粉 半生 | ─ | 5.8g | 2.11g | 1.74g | 1.15g |
穀類は比較的飽和脂肪酸が少ないことが特徴です。しかし、ポップコーンのように調理方法によっては飽和脂肪酸が多くなってしまうものもあります。
(※6)参考:文部科学省.「食品成分データベース」.第2章第1表(データ)(入手日付2024-02-10)
脂質摂取量の目安について
脂質摂取量の目安はグラムでは設定されていませんが、1日の総摂取カロリーに対して、脂質から摂取するカロリーの目安の割合が設定されています。総摂取カロリーはたんぱく質、脂質、炭水化物から成ります。3つの栄養素を1日に摂取する場合、脂質の割合はどの年齢であっても20%~30%が目安です。例えば1日の摂取エネルギーが2,000kcalであれば脂質からの摂取カロリーは、20%~30%にあたる400kcal~600kcalです。
(※7)参考:文部科学省.「日本人の食事摂取基準(2020年版)」.“脂質の食事摂取基準(% エネルギー)”(入手日付2024-02-10)
脂質を過剰摂取するとどうなる?
脂質を過剰摂取してしまうと、肥満や心筋梗塞などの循環器系疾患につながる可能性があります。肥満は体型だけでなく、健康にも悪影響を及ぼすため注意が必要です。例えば、肥満になってしまうと糖尿病や高血圧症、動脈硬化につながる脂質異常症のリスクが高まると言われています。また、肥満は腰痛や無呼吸症候群の原因にもなります。
脂質の過剰摂取を避ける方法
脂質の過剰摂取を避けるには次のような方法を試してみましょう。
- 肉類より魚介類を食べるようにする
- 調理に使用する油の量を減らす
- 栄養成分表示を確認するようにする
肉類より魚介類を食べるようにする
脂質の過剰摂取を避けるのであれば、肉類よりも魚介類を食べることがおすすめです。肉類は飽和脂肪酸を多く含んでいる傾向があります。摂取しすぎてしまうと、心筋梗塞などの原因になりかねません。
一方、魚介類は悪玉(LDL)コレステロールの減少に効果的な不飽和脂肪酸を豊富に含んでいます。
調理に使用する油の量を減らす
調理に油を使用すると、脂質を過剰摂取しやすくなります。調理方法を変更して、使用する油の量を減らすとよいでしょう。例えば、揚げるのではなく、煮る・蒸すといった調理の方が油の使用量を減らせます。
また、使用する油をオリーブ油やキャノーラ油に変更する、肉は下ゆでをして油を落とすといった工夫も脂質を減らす上でのポイントです。
栄養成分表示を確認するようにする
加工品を口にする際は栄養成分表示を確認しましょう。加工品は製造工程で油を使用しているケースがあります。加工品の栄養成分表示を確認してどれだけの脂質が含まれているかを確認することをおすすめします。
脂質は過剰摂取を避けて正しく摂取しよう
脂質は体を動かすエネルギー源となる栄養素の1つです。脂質は肉類や魚介類などに含まれていますが、過剰摂取は避けましょう。特に肉類に多くの含まれている飽和脂肪酸を過剰に摂取してしまうと、心筋梗塞などの循環器系の疾患につながりかねません。LDL(悪玉)コレステロールを減少させる不飽和脂肪酸を含む魚介類を積極的に摂取するとよいでしょう。
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