ストレスで食欲不振になる?ご飯が食べられない理由を解説
人は空腹になると食欲が湧いてくるのが自然な状態です。しかし、さまざまな理由により、なぜか食欲が湧かなくなることがあります。このような状態を食欲不振と呼び、食欲不振が長く続けば病気になってしまう可能性があります。
本記事では、ストレスをはじめとした食欲不振の原因と改善方法を解説します。またストレスによって起こる食欲不振の理由や症状、ストレスをためない1日の過ごし方なども紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
<もくじ>
–朝 –昼 –夜 |
食欲不振の原因は?
食欲不振になってしまう原因には、以下のようなものが考えられます。
- ストレス
- 体調不良・病気
- 生活習慣
- 加齢
- 過度な飲酒
- 服用した薬剤の副作用
それぞれについて見ていきましょう。
原因①ストレス
ストレスは脳の視床下部にある摂食中枢に影響を及ぼすため、食欲不振を引き起こします。そのためストレスがたまっていると、食欲不振になる可能性があります。
ストレスは胃の粘膜を守る胃粘液の分泌を減少させ、同時に胃酸を多く分泌させます。胃の粘膜が弱まり胃酸が過剰に分泌されると、胃痛や胃もたれなどを感じやすくなり、食欲が低下するでしょう。
また味覚障害をもたらすのもストレスです。味覚障害によっていつもと味が変わったように感じ、食欲不振につながります。
原因②体調不良・病気
食欲不振を引き起こす病気は多数あります。中でも胃や腸といった消化器系の病気は、食欲不振を引き起こしやすいです。例えば、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などが挙げられます。また甲状腺の疾患も、食欲不振を引き起こす傾向にあります。
さらには風邪やインフルエンザによる体調不良、虫歯や舌炎といった口腔内の病気も、食欲不振を引き起こす原因の一つです。
原因③生活習慣
食欲不振は、生活習慣が乱れることでも起こり得ます。例えば寝不足は、ストレスと同じく自律神経に影響を及ぼしかねません。また就寝前の食事は、消化器に負担をかけます。寝る前に食事をすると消化が間に合わず、胃もたれや消化不良を引き起こします。胃もたれや消化不良のせいで、翌日になって食欲不振を感じることもあるでしょう。
原因④加齢
加齢は食欲不振の原因の一つです。年を取ると、味や匂いが分かりづらくなることがあり、食欲が湧かなくなる可能性があります。胃腸の機能や飲み込む力が低下することも、加齢による食欲不振の理由です。
また年齢を重ねると運動量が減る傾向にあるため、必要となるエネルギーも減る場合があります。結果的に、若いときよりも食欲が湧きづらくなり、結果として食欲不振につながります。
原因⑤過度な飲酒
食欲不振は、過度な飲酒が原因で起きることもあります。飲酒によって肝臓に負担がかかると、疲れや吐き気といった症状が現れ、食欲の減退を招くためです。
お酒は肝臓に影響を及ぼすだけではありません。過度な飲酒を続けていると胃の粘膜が傷付き、胃潰瘍や胃炎になってしまいます。胃潰瘍や胃炎によって食欲が減退することもあります。
原因⑥服用した薬剤の副作用
服用している薬剤による副作用も、食欲不振の原因の一つです。副作用で食欲不振を感じることのある薬剤としては、以下のようなものが挙げられます。
食欲不振につながる副作用 | 薬剤 |
消化管障害 | NSAIDs、ビスホスホネート製剤 |
吐き気・嘔吐 | 抗がん剤、ジギタリス製剤、SSRI、オピオイド、鉄剤 |
味覚障害 | キレート剤 |
下痢 | 抗がん剤、抗菌薬 |
便秘 | 抗がん剤、オピオイド、抗コリン薬 |
食欲不振とはどんな状態?
人が行動する上では、食事によるエネルギー摂取が欠かせません。通常は空腹になると血糖値が低下して胃が収縮します。この状態を摂食中枢が感じ取り、食欲が湧いてきます。しかし、ストレスをはじめとした何らかの理由で摂食中枢にトラブルが生じていると、人は空腹を認識しにくくなり、食欲不振につながるのです。
食欲不振は原因次第で数日で改善することもあります。しかし、長期にわたって食欲不振が続く場合は健康に影響を及ぼす恐れがあります。
例えば、食欲不振で何日も食事を取らずにいると、十分なエネルギーが得られません。その結果、体重の減少を招きます。また、ビタミンやミネラルといった栄養素が不足することで、骨粗鬆症や貧血、免疫力低下にもつながります。
ストレスが食欲不振を引き起こす理由
自律神経は交感神経と副交感神経があり、それぞれがバランスを保って身体の調子を維持しています。自律神経のバランスを崩す原因の一つが、ストレスです。ストレスは交感神経、副交感神経どちらにも次のような影響を及ぼします。
- 交感神経:胃の血流を低下させ、胃粘液の分泌を減少させる
- 副交感神経:酸性の胃酸を分泌させる
そのため、胃痛や胃腸の機能低下による消化不良が起き、食欲が低下してしまうのです。食欲が低下すると、栄養を十分に摂取できません。栄養の中にはたんぱく質やビタミンCといったストレス軽減が期待できるものがあります。しかし、ストレスが強く食欲不振に陥ると、必要な栄養を摂取できず、抵抗力が弱まっていきます。
ストレスによる食欲不振で考えられる症状について
ストレスによる食欲不振が現れると、病気と診断されることもあります。ストレスによる食欲不振で考えられる症状は次のとおりです。
- 機能性ディスペプシア
- 過敏性腸症候群
- うつ病
それぞれの症状について解説します。
症状①機能性ディスペプシア
胃の痛みや胃もたれを感じて病院を受診しても、異常が見つからないケースがあります。このような状態のときに疑われるのが、機能性ディスペプシアです。機能性ディスペプシアは胃痛や胃もたれ以外にも、すぐ満腹感を覚える、胃が熱く感じるなどの症状を感じることがあります。
機能性ディスペプシアになる原因はさまざまですが、その一つがストレスと考えられています。
機能性ディスペプシアと診断された場合は、胃酸の分泌を抑える薬や、胃の働きを活発化させる薬を服用するのが一般的です。またストレスが原因による機能性ディスペプシアであれば、抗不安薬や抗うつ薬を服用することもあります。
症状②過敏性腸症候群
過敏性腸症候群は、腸の検査をしても異常が認められないものの下痢や腹痛、便秘などを繰り返す病気です。日本人の成人のうち、10〜20%が発症していると考えられています(※)。
ストレスによって腸の働きや消化液の分泌が乱れることで、下痢や便秘につながってしまいます。症状は下痢や便秘だけではありません。過敏性腸症候群の人の中には、腹痛や下痢以外に頭痛やめまいなどの症状を訴える人もいます。
過敏性腸症候群は、腸の働きを調整する薬や、便の硬さを調整する薬を服用するのが一般的です。またストレスをはじめとした生活習慣改善によって、治療を図ることもあります。
※参考:一般社団法人 日本大腸肛門病学会「過敏性腸症候群について」“過敏性腸症候群とはどんな病気ですか。”(入手日付2022-01-19)
症状③うつ病
ストレスによる食欲不振は、うつ病を引き起こすことがあります。例えば食欲不振が続くことへの不安感がたまっていくことで、うつ病を発症する可能性があります。
また、原因が分からない下痢や便秘、腹痛が続くことに対する不安感はうつ病の原因になりかねません。そのため、過敏性腸症候群がうつ病に起因する可能性もあるでしょう。
うつ病になると食欲が湧かなくなるだけでなく、気分の落ち込みや意欲の低下など、さまざまな症状が現れます。
うつ病の治療で柱とされているのが、薬物治療や精神療法、休養、環境調整です。精神療法では、患者の考え方の癖を見直す「認知行動療法」や、対人関係の問題解決をサポートする「対人関係療法」などが用いられます。
ストレスをためない1日の過ごし方
ストレスによる食欲不振を防ぐには、1日の過ごし方に注意をしてみましょう。ここでは朝・昼・夜の3つの時間帯に分けて、ストレスをためない過ごし方を解説します。
朝
ストレスをためていると、睡眠時間が乱れてしまいます。ストレスによって十分な睡眠を確保できていないという方は、起床時間を統一してみましょう。
毎日同じ時間に起きて太陽を浴びることで、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの分泌が抑制されます。メラトニンが再び分泌されるのは約14~16時間後です。毎日同じ時間に起きれば、メラトニンが再度分泌される時間も統一できるはずです。
メラトニンの分泌が抑制されると、セロトニンというホルモンが分泌されます。セロトニンは気持ちを安定させる効果があるため、ストレス軽減にもつながります。
また起床時間を統一するだけではなく、朝食も忘れずに取りましょう。朝食を抜くことは胃が荒れる原因となります。また朝食を取る際は、胃に負担をかけない食べ物を選ぶようにしてください。例えばおかゆやうどん、食物繊維の少ないじゃがいもなどがおすすめです。
人の脳にはエネルギー源であるブドウ糖が必要です。朝食を抜くと、脳がぼーっとしたまま1日がスタートしてしまいます。朝食をしっかりと摂取することで、勉強や仕事に集中できるでしょう。
昼
日中は、深呼吸を心掛けるのがおすすめです。深呼吸をすると、副交感神経が優位に働くことでリラックスでき、ストレスの軽減が期待できます。深呼吸によって横隔膜が鍛えられれば、胃酸の逆流を防ぐ下部食道括約筋の機能向上も期待できるでしょう。
運動を取り入れるのも、ストレス軽減に効果的です。特にウォーキングやサイクリングなどの有酸素運動は、ストレス軽減につながるとされています。運動に取り組む際は、一度に急に負荷をかけないことが大切です。1日に20分ほどを目安に、継続して続けることを目指しましょう。
運動はストレスを解消するだけではありません。運動を日常的に続ければ、セロトニンの分泌が安定し、ストレスに強い身体作りにつなげられるでしょう。また運動後の疲労感も、ストレスに強い身体作りに効果的です。疲労を感じることで入眠しやすくなり、良質な睡眠が得られます。
ストレス解消に効果的な有酸素運動は、健康維持にも効果的です。有酸素運動は体脂肪をエネルギー源として燃焼させます。不要な体脂肪を燃焼させることで、血中の中性脂肪や体脂肪が減少するため、高血圧の予防やダイエットにもつながります。
夜
就寝間近に食事をすると、睡眠の質の低下を招きます。そのため、夕食は就寝の3時間前を目安に済ませておきましょう。就寝前の余裕を持った食事は胃の調子を整える上でも効果的です。寝る直前に食事をすると、食べたものがそのまま胃に残るため、食欲不振につながる可能性があります。
しかし仕事をしている方の中には、残業などで就寝の3時間前に食事を取れない方もいるかもしれません。就寝の3時間前に食事を取るのが難しければ、間食を活用してみましょう。午後のどこかで間食を挟み、夕ご飯はスープのような軽めの食事にすれば、胃への負担を軽減できます。間食をせずにドカ食いをすると、胃に負担をかけてしまいます。
良質な睡眠という観点では、寝る前のスマートフォンやパソコンの操作も避けておくのがおすすめです。スマートフォンやパソコンのモニターから出るブルーライトは、メラトニンの分泌を妨げるため、寝つきが悪くなります。寝つけたとしても浅い眠りになる可能性があります。就寝の1時間前には、スマートフォンやパソコンなどの操作を終えましょう。
手元にあるとついつい見てしまうという方は、そもそも寝室に持ち込まないというのも一つの手です。
食欲不振の改善におすすめの方法
食欲不振の改善には、次のような方法がおすすめです。
- うどんなどの食べやすいものを摂取する
- ビタミンの摂取を意識する
- 高い栄養価の食べ物を摂取する
それぞれの方法について解説します。
方法①うどんなどの食べやすいものを摂取する
食欲が湧かないのであれば、うどんやおかゆ、豆腐料理など、消化しやすくのど越しが良い食べ物を摂取しましょう。一方、食欲不振のときに避けるべきは、消化の悪い食べ物です。消化の良い食べ物、悪い食べ物の例は次のとおりです。
消化の良い食べ物 | 消化の悪い食べ物 | |
主食 | お粥、ご飯、うどん | 玄米、ラーメン、パスタ |
主菜 | 脂肪の少ない肉、卵料理、豆腐 | 脂肪の多い肉、貝類 |
副菜 | キャベツ、ほうれん草、白菜、じゃがいも | ごぼう、タケノコ、こんにゃく、サツマイモ、海藻類 |
果物 | りんご、メロン、バナナ | 梨、柿、ドライフルーツ |
その他 | 牛乳、乳製品、バター | げ物 |
食欲が出ないときは、揚げ物をはじめとした脂っこい食事は控えましょう。
食欲不振に加えて、吐き気や嘔吐があれば、香りの強い食べ物や刺激物によって症状が悪化する恐れがあります。症状の悪化を避けるためにも、香りの強い食べ物や刺激物は控えましょう。
のど越しの良い茶碗蒸しは食欲がないときに比較的食べやすい食事ですが、作るのが手間だと感じる方も多いメニューです。そんなときにおすすめなのが茶碗蒸しの素。卵1個で2人前の茶碗蒸しが電子レンジでできあがります。
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方法②ビタミンの摂取を意識する
食欲不振のときは栄養素が不足しがちです。中でも体内で蓄えられないビタミンBやビタミンCなどを摂取しましょう。
ビタミンBにはさまざまな種類がありますが、特に炭水化物からエネルギーを生み出す際に活躍するビタミンB1は、積極的に摂取することが大切です。ビタミンB1は、例えば次のような食品に多く含まれています。
- ほうれん草
- 豚肉
- 大豆
- カリフラワー
ビタミンB1は、たまねぎやニラに含まれているアリシンと併せて摂取することで、効率的に体内に吸収されます。
またビタミンB1だけでなく、ビタミンCも摂取しましょう。ビタミンCが不足すると、倦怠感や食欲不振の悪化を招きます。ビタミンCが豊富に含まれる食品は、以下のとおりです。
- 赤ピーマン
- 黄ピーマン
- キウイフルーツ
- キャベツ
ビタミンCは柑橘類にも豊富に含まれています。しかし、柑橘類は胃酸の分泌を促進することがあるため、胃痛や胃もたれといった胃の不調を感じるときは摂取を避けましょう。
方法③高い栄養価の食べ物を摂取する
食欲不振を感じるときは、どうしても食事の量が減ってしまいがちです。そのため、少量であっても栄養価の高い食べ物を摂取しましょう。卵や牛乳、チーズといった乳製品は栄養価が高いだけでなく、胃にも負担をかけにくいです。例えば卵がゆなどのメニューであれば、胃に負担をかけずに高い栄養を摂取できます。食事ではなく、栄養補助食品で栄養を摂取するのも、食欲不振時には効果的です。
ストレスによる食欲不振は食事や日常生活の改善で解消しよう
食欲不振は病気や体調不良、過度な飲酒などさまざまな原因で引き起こされます。ストレスも原因の一つです。ストレスによる食欲不振は機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群、うつ病につながることもあります。
ストレスによる食欲不振を解消するには、起床時間を統一する、日常的に運動をするといった生活習慣の改善を心掛けましょう。また食べやすいものを摂取する、ビタミンの摂取を意識するといった食生活の改善も、ストレスによる食欲不振の解消に効果的です。
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